こんにちは!間取りデザインLAB.のユカです。
年間80件超の間取り提案をしています♪
家づくりの情報を集めているけれど、「専門用語が多くてよくわからない…」とお悩みではありませんか?
ほとんどの方にとっては初めての家づくり。
聞き慣れない用語が多いと、情報を集めるのも大変ですよね。
そこで今回は、家づくりや間取りづくりを進める上でよく出てくる専門用語について解説します。
・これから家づくりを始めようと思っている
・家づくりに関する情報を集めている
・建築の知識はほとんどない
なお、この記事で解説する用語は「間取りを書くこと」に特化した最低限の知識に的を絞っています。
すべて覚える必要はありませんが、ひと通り読んでいただけると間取りづくりや打合せの理解度が深まりますよ。
サクッと読みたい方は、ピンク色の枠部分を抜粋して読んでみてください。
これから家づくりの勉強を始める方に向けて丁寧かつ簡単に分かりやすく解説していますので、苦手意識がある方もぜひ一度読んでみてくださいね。
用途地域とは?
「用途地域」とは、市街地を計画的に形成するために用途に応じて分けられたエリアのことです。
用途地域は現在13地域あり、それぞれの地域ごとに建てられる建物の種類や大きさなどが制限されるので、結果として地域ごとに住み心地や暮らしが異なります。
【用途地域 一覧】
住宅系 | 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 田園住居地域 |
商業系 | 近隣商業地域 商業地域 |
工業系 | 準工業地域 工業地域 工業専用地域 |
13ある用途地域は、一戸建てやマンションが多い住宅系、店舗や事務所が多い商業系、工場などが多い工業系の3つに分かれ、それぞれの分類の中でさらに細分化されています。
用途地域によって、建てられる家の規模を決める「建ぺい率」「容積率」が変わります。
ただし、同じ用途地域内でも敷地の場所によって建ぺい率や容積率に幅があるので、敷地の正確な場所を特定して用途地域を調べるようにしましょう。
用途地域はおおむね5年に一度見直しができます。
直近では2019年に「田園住居地域」という用途地域が追加され、13地域になりました。
指定エリアや建ぺい率・容積率などの数値についてもおおむね5年に一度見直しされます。
用途地域の調べ方
用途地域は、インターネット上で調べることができます。
建ぺい率とは?
建ぺい率とは、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のことです。
もう少しわかりやすく言うと、「敷地全体の何%に建物が建っているか?」を表しています。
せっかくの土地をできるだけ建物に使いたいと考える方もいるかと思いますが、建ぺい率が高すぎる家は防災面の不安や風通しが悪くなることもあります。
そこで、ある程度の空地を設けてゆとりある建物を建てるように誘導する目的で、建築基準法によって建ぺい率に制限が設けられています。
建築面積とは?
建ぺい率を算出するには、間取りを描きながら「建築面積」を確認しなければなりません。
建築面積とは、建物の壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を指します。
水平投影面積とは、建物を真上から見たときの面積です。
ざっくり言うと、Googleマップの航空写真で見えた家の形を線で囲むようなイメージです。
一般的な住宅の場合、1階より2階の面積の方が狭いことが多いので、1階の面積がそのまま建築面積に該当するケースがほとんどですが、2階の方が1階よりも面積が大きい場合は2階の面積が建築面積に該当します。
建ぺい率は、主に1階の間取りに大きく影響します。
近年は、特に都市部では車を所持しない方も増えています。
駐車スペースを設けない場合や、家事効率を考慮した1階完結型の間取りにしたい場合は、1階の間取りが大きくなりがちです。
これから土地を購入する場合は、建ぺい率の制限内で理想の間取りが実現できるか確認しておくと安心です。
建ぺい率の計算方法
建ぺい率は、以下の計算式で求められます。
建ぺい率(%) = 建築面積(㎡) ÷ 敷地面積(㎡) × 100
建ぺい率の上限は用途地域及び土地の場所によって定められているので、その上限を超えないように間取りを描かなければなりません。
具体的には、
間取りを描く
⇩
建築面積を算出する
⇩
建ぺい率を算出する
⇩
建ぺい率の上限内かを確認する
という確認作業が必要になります。
建築面積に含まれる部分・含まれない部分
家の外観は、必ずしもシンプルなキューブ型ではありません。
バルコニーやひさしなど建物から突き出している部分や、車庫やカーポートなど建物本体とは別に設置する部分もありますね。
そのような部分は、屋根や壁・柱の有無によって建築面積に含まれるかどうかの判断が分かれます。
いかがでしょうか?
少し難しくてややこしいですね。
自分で間取りを描く場合は、「建物を真上から見たときに見える部分」をすべて建築面積とみなして、建ぺい率に余裕をもっておくことがポイントです。
建ぺい率の緩和
以下の条件に該当する場合、建ぺい率の緩和を受けることができます。
延焼に強い環境と建物なら大きめに建ててもいいよ!ということですね。
建ぺい率の調べ方
建ぺい率は、インターネット上で調べることができます。
容積率とは?
容積率とは、「敷地面積(建物が建っている土地)に対する延床面積(家の各階の床面積の合計)の割合」のことです。
建ぺい率と同様に、用途地域によってその限度が定められています。
用途地域によっては建物自体の高さが制限されていることもあり、容積率による制限と合わせると、実質的に「ここは2階建てまで」「ここは3階建てもOK」というように家の規模が決まります。
家の規模を容積率によって制限することで、良好な住環境を維持しようというのがこの規定のねらいです。
延床面積とは?
延床面積とは、各階の床面積の合計のことです。
家を建てた後に「この家、何坪?」とよく聞かれるのも、延床面積を指しています。
広い意味では、「床がある部分=延床面積」と捉えてしまってOKです!
容積率は、家全体の広さに大きく影響します。
容積率の制限によっては、「3階建てにしたいのに容積率オーバーでできない」という状況も発生します。
特に、前面道路が狭い場合は容積率が厳しくなるので、注意しておきましょう。
指定容積率
実は容積率には二種類あり、用途地域ごとに定められているものを「指定容積率」といいます。
閑静な住宅街である低層住居系地域の容積率はより厳しく、利便性がよく賑やかな中高層住居系からはゆるくなっています。
低層住宅の多い地域は、それだけ住環境が重視されているということですね。
基準容積率
もうひとつの容積率は敷地の前面道路の幅員(幅)によるもので、前面道路の幅員が12m未満の場合は容積率が制限されます。
これを「基準容積率」といいます。
基準容積率は、以下の計算式で求められます。
基準容積率(%) = 前面道路の幅員(m) × 用途地域による係数(%)
用途地域による係数はこちらです。
用途地域 | 前面道路の幅(m)にかける係数 |
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 田園住居地域 | 40% |
第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 | 40% (特定行政庁が指定する区域では60%) |
近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 用途地域の指定のない区域 | 60% (特定行政庁が指定する区域では40%または80%) |
こうして算出された基準容積率が用途地域により指定された指定容積率よりも小さい場合は、小さい方を容積率の上限として採用します。
前面道路が狭い場合は、容積率も厳しくなると覚えておきましょう!
容積率の計算方法
容積率は、以下の計算式で求められます。
容積率(%) = (1階床面積 + 2階床面積) ÷ 敷地面積 × 100
容積率についても、建ぺい率と同様に、
間取りを描く
⇩
延床面積を算出する
⇩
容積率を算出する
⇩
容積率の上限内かを確認する
という確認作業が必要になります。
延床面積に含まれる部分・含まれない部分
容積率の計算のもととなる延床面積には、含まれない部分があります。
この延床面積に含まれない部分を上手く利用することで、より広く開放的な間取りにすることができます!
延床面積についても、「判断に迷う場合は延床面積に含まれる」とみなして、容積率に余裕をもって間取りづくりを進めましょう。
容積率計算上の延床面積は、確認申請書や登記簿上の延床面積とは異なる場合があります。
これは、確認申請書・登記簿上の延床面積には各階の床面積がすべて含まれているのに対し、容積率計算上の延床面積からは上記の容積率不算入部分の一部が除外されているためです。
固定資産税の算出では、確認申請書・登記簿上の延床面積が採用されます。
また、建築会社との打ち合わせや契約書では「施工面積」という言葉もよく出てきます。
施工面積は建築会社によって基準が異なり、一般的には吹抜けやバルコニーなど実際に工事が必要な部分の面積がすべて含まれていることが多いです。
容積率の緩和
建築予定地が特定道路(幅員15m以上の道路)から分岐する道路に接する場合は、一定の要件のもとで容積率が緩和されます。
具体的には、特定道路までの距離が70m以内で、幅員6m以上12m未満の道路に接する場合に、特定道路までの距離に応じて計算される数値を前面道路の幅に加えることができます。
大きな幹線道路が近くにある場合はチェックしてみましょう。
容積率の調べ方
容積率のうち指定容積率は、インターネット上で調べることができます。
接道道路とは?
敷地に建物を建てる際は、建築基準法に定められた道路に2メートル以上接していなければならないという決まりがあり、これを「接道義務」といいます。
これは緊急車両の通行を確保したり災害時の避難路を確保するための決まりで、奥まった路地の先にある土地でも、道路に面する通路の間口が2メートル以上あることが求められます。
まずは「建築可能な土地か?」を判断する材料として接道道路は最重要項目です。
また、建物の大きさや高さ、形状を制限する「容積率」「斜線規制」に影響します。
さらに、接道道路の幅員が4m以下の場合は、敷地の一部を道路として利用するためにセットバック(後退)する必要があり、家の大きさや配置に影響があります。
道路の種類
接道義務の基準となる「建築基準法で定められた道路」とは、原則では幅員4m以上、特定行政庁が指定した区域内では6m以上となります。
さらに、建築基準法第42条では道路を大きく6つに分類しています。
第42条第1項第1号 | 道路法によるもの (一般国道、都道府県道、市町村道などの公道) |
第42条第1項第2号 | 都市計画法、土地区画整理法などによるもの (開発道路) |
第42条第1項第3号 | 建築基準法が施行された1950年(昭和25年)11月23日以前から存在するもの |
第42条第1項第4号 | 道路法や都市計画法により2年以内に事業が行われる予定があり、特定行政庁が指定したもの |
第42条第1項第5号 | 特定行政庁が位置を指定したもの(位置指定道路) |
第42条第2項 | 建築基準法が施行される前から存在する幅員4メートル未満で特定行政庁が指定したもの(2項道路、付則5項道路、みなし道路) |
なお、この6つの分類は、「公道か?私道か?」を分類したものではありませんが、第42条第1項第5号(位置指定道路)と第42条第2項(2項道路、付則5項道路、みなし道路)は私道であることが多いです。
私道とは、その名の通り個人や団体などが所有する道路です。
また、土地の一部が私道になっている、または土地の一部を私道にしなければならない状態のことを私道負担といいます。
このあと解説するセットバックも、私道負担のひとつです。
セットバックとは?
道路の種類が第42条第2項(2項道路、付則5項道路、みなし道路と呼ばれています)の場合、道路として使用できる幅員を4m確保するために「セットバック」が必要となります。
セットバックとは、道路と敷地の境界線を道路の中心線から2メートルの位置まで後退させることです。
セットバックした部分には建物を建てることができず、敷地面積からも除外されるので、建ぺい率や容積率がより厳しくなります。
セットバックのデメリットは、私道部分の整備や維持費が自己負担となる点です。
道路としてしか使えない部分ですが、所有者の負担で通行に支障がないように整備する必要があります。
地域によっては、私道部分の雨水処理や仕上げ材が指定されているところもあります。
思いがけず外構費用がかさむこともあるので、事前に確認しておくと安心です。
セットバックが必要な土地は、間取りへの影響が大きい分、同じ地域内でも土地の価格が安くなる傾向にあります。
交通量が少ないことで、騒音や振動が少なく小さなお子さんがいても安心というメリットも!
制限内で理想の間取りが実現できるなら、とてもお得です◎
我が家も約1mセットバックして建てました!
車もほとんど通らないので、安心感があり快適ですよ。
接道道路の調べ方
道路の情報は、建築予定地がある市町村の役所で調べます。
役所内の建築指導課に備えられている道路図面で確認しますが、確認方法は紙の地図、窓口のパソコン、口頭での回答…と市町村によってバラつきがあります。
また、市町村によってはオンライン上で道路種別を公開しているところも増えてきています。
「〇〇市 道路」で検索すると該当ページがヒットするかもしれないので試してみてください。
斜線制限とは?
斜線制限とは、道路境界線または隣地境界線からの距離に応じて建築物の各部分の高さを制限することにより、道路や隣地の採光、通風を確保し、圧迫感を和らげるものです。
制限がかかるかどうかは、用途地域や周辺の環境によります。
特に敷地いっぱいに建物を建てたい場合は、制限の中でできるだけ大きく建物の面積を確保するために重要なルールとなります。
斜線制限は、家の高さや形、配置に影響します。
具体的には、このような状況が発生しがちです。
・家全体の高さとしては3階建ても可能だけど、斜線制限がかかる部分は2階建てにしないといけない
・南側の日当たりを活かすために建物を北側にできるだけ寄せたいけれど、斜線制限がかかるので北側に空きスペースを設けないといけない
道路斜線制限
道路の日照や採光、通風に支障をきたさないように、また周辺に圧迫感を与えないように、建築物の高さを規制したルールです。
前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で記された線(=道路斜線)の範囲を超える高さには建築ができないので、アプローチや駐車場を設けない、またはビルトインガレージなどで道路ギリギリに家を寄せて建てたい場合は注意が必要です。
道路斜線は用途地域や容積率、前面道路の幅員などで適用される範囲が変わり、それによって建物の高さと位置が決まります。
隣地斜線制限
隣地の日照や採光、通風等、良好な環境を保つために、建築物の高さを規制したルールです。
隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=隣地斜線)の範囲を超える高さには建築ができません。
ただし、隣地斜線のスタート位置は隣地境界線+20mまたは+31mの高さからなので、一戸建ての住宅で規制がかかることはほぼありません。
北側斜線制限
北側の隣家の日当たりを考慮し、南側からの日照の確保のために建築物の高さを規制したルールです。
北側の隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=北側斜線)の範囲を超える高さには建築ができません。
良好な住居の環境を保護するためのルールで、北側斜線のスタート位置は第一種・第二種低層住居専用地域で隣地境界線+5m、第一種・第二種中高層住居専用地域で隣地境界線+10mです。
ですので、第一種・第二種低層住居専用地域で2階建て以上にする場合は注意が必要です。
日影規制
周囲の日当たりを考慮し、冬至の日(12月22日ごろ)を基準として、まったく日が当たらないことのないように建物の高さを規制したルールです。
規制を受ける建物は以下のとおりです。
- 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域
かつ、軒の高さ7mを超える または 地階を除く階数が3階建ての建物 - それ以外の地域で、建築物の高さ10mを超える建物
ですので、第一種・第二種低層住居専用地域で3階建て以上にする場合は注意が必要です。
斜線制限の調べ方
斜線制限は、用途地域や道路、周辺環境など様々な要素を考慮した判断が必要なため、建築会社や設計士など専門家に依頼しましょう。
まとめ
今回の記事では、家づくり初心者の方に向けて、よく出てくる専門用語について説明しました。
専門用語が多く、少し難しい部分もあったかと思いますが、いかがでしょうか?
間取りを描く上では、すべてを理解して覚える必要はありません。
間取りづくりや打合せで分からない用語が出てきたら、ぜひこの記事を読み返してみてくださいね。
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